男が望む惜別ロマン
俳優、児玉 清さんの文章より


読んでいる最中、突如、胸をつきあげる熱いものに
思わず嗚咽してしまったのには、実に久しぶりの体験であった。

と、いきなり書いてしまったが、その後、どうにもとまらぬ滂沱(ぼうだ)と流れる涙を
いかんとする術もなく、深い感動に身をふるわせて読了したのは、
【象の背中 秋元康著】であった。

迫りくる死の恐怖と対峙(たいじ)する終盤の主人公の惜別の一コマ一コマは、
恰も(あたかも)著者自身が、実際に死線をくぐりぬけてきたかのごとき
迫真のインパクトをもたらす。

自然にこみ上げてくる感情の波を抑えることができず、
感動と哀切の情に心ゆくまで涙を流したのだ。

近年、とんと世間から消えてしまった素晴らしき大人の男の惜別のロマンに
心底しびれ、最後にこういう形で死ねたら、男の、いや人間の本望だ、と
憧れてしまったのは、これぞ作家の稀有なる底力によるものだ。


                               2006年05月03日


象の背中 (扶桑社文庫)
4594054544



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